乾杯

友人がロンドンの方へ旅立つ。一年後の話らしいがとても急だなと思った。そう言うようなことは改まって伝えるべきなんじゃないかなって思ったんだけど、まあ仕方ないか。別に死ぬわけじゃないし会いに行こうと思っていける距離な訳だし悲しくはなかった。その時僕は大人になったんだと思った。

 

茶でも行こうかと誘ったのにそんな事言われてもさ。喫茶店はどこも人が沢山いて二軒も断られているし、三軒目の青山大学裏の所にある喫茶店に入ったわけだがコーヒーなんて飲めやしないし咄嗟にビールを頼んだよね。

 

小さいグラスにハートランドが出てきた。ナッツのおつまみ位あっても良いんじゃないかなと思った。お前はさウイスキーなんて頼んじゃってさ。庭に残る雪がなんとなく春っぽさを演出していてさ。メジロが庭の枝にぐるぐる飛びまわっててさ、お前には見えない方の景色だからさ分からなかったと思うけど。景色のいい方を背景に座らせるのは写真家の常なんだぜ。大きい窓硝子に少し逆光気味の影に笑う顔はあの頃と全く変わらないな。二杯目におかわりしたウイスキーにボウフラが入っててさ、交換してもらった訳だけど申し訳ないからって店主が少し多めに入れてくれてたよね。

 

自分自身では気付かないところで僕らは祝福されてるわけだよ。頑張れよ。